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しうせつ。

 

  物心ついた時には母親が死んでいて、父親も単身赴任だった僕は小さい頃からおばあちゃんっ子だった。夏休みには毎日のようにおばあちゃんの家に遊びに行っていた。僕に対していつも優しくニコニコしていたおばあちゃんだけど、ある日に行事ごとの出し物を閉まっておく倉庫になっている納屋を見つけて、何か掘り出し物や遊び道具がないか夢中になって探していると、しばらくしたら険しい顔をしておばあちゃんが「この納屋には危ないから入っちゃダメだよ。あとおばけが出るから日没後には絶対に近づかないでね。」と言われた。たしかに年代物の高価そうな陶器や稲刈りの際の鋭利な鎌が置いてあって、子どもが不注意で割ってしまったり傷つけてしまう可能性があるし、納屋の周りは薄暗く鬱蒼としていたから迷子になる恐れがあるんだな、と素直に納得した。しかし僕が納屋から出る直前に、立てかけてあったクワの近くにこの納屋には似つかわしくない80年代の少女漫画が置いてあったのに気が付いた。母親の私物だろうと思い、少し気にかかったがおじいちゃんが買ってきてくれたおもちゃに夢中になってすっかりその事は忘れてしまっていた。

  中学生3年生になった僕は、部活も引退して暇になった春休みに、またおばあちゃんの家に泊まることにした。中学生の僕は夜更かしグセがついていたので午前1時ごろまでゲームをしながら起きていると、家の玄関から誰かが出てくる音が聞こえた。「こんな時間に誰だろう?」と思って窓から外を覗くと、おばあちゃんが夕飯の残りを持って納屋に向かっていた。記憶の奥底に眠っていた記憶が蘇ってきた。「おばけにお供え物?なんか変だな…」と思って眺めていたけど、睡魔が襲ってきたので床に就くことにした。

  昨日の事が気になって、おばあちゃんに「昨日深夜に納屋に行かなかった?」と聞いたら、相変わらずニコニコしながら「いんや?昨夜は一歩も外に出歩いてないよ?納屋は危ないからね、行っちゃダメだよ。」とまた言われた。しかし体格も大人に近づいて、ある程度の見識を持っていた僕は、(まだ子ども扱いされてる…)と反抗期特有の顔色を呈していた。それを察してかおばあちゃんが続けて「あそこにはね、土着神様がいるんだよ。わけあって開かずの間になっている場所があるから、そこには絶対に入っちゃダメだからね。それ以外なら自由に出入りしていいよ。」と言ってくれた。

「土着神様」、「開かずの間」。この単語を聞いて、僕の中の冒険心と好奇心が躍っていた。健全な中学生男子ならば、この好奇心には勝てはしないだろう。さっそく部屋に戻って懐中電灯、お菓子などをリュックに詰めて、日が没するまで待つ事にした。

  日が没して晩ご飯を食べ終わって、懐中電灯の明かりを頼りに納屋へ向かった。納屋まで10メートルだろうか。なにやら女の笑い声が聞こえてきたような気がして、周りを見渡してみた。懐中電灯を照らしても、鬱蒼とした木々やカエルの鳴き声が聞こえるだけ。気のせいだろうと気を取り直して納屋に入ると、相変わらず年代物の陶器や七夕に使ったであろう笹の木、スキやクワなどの農業道具が無造作に置かれてあった。懐中電灯をクワのあたりに照らしてみると、そこに白い女の顔があった。思わず叫びそうになったのをこらえてよく見たら、ただの少女漫画だった。「なんだよ、おどかすなよ…」とため息をついて思い出したことがあった。「そういや小学生の時も漫画がここに置いてあったっけな…」と思ったがふと気がついたことがあった。前見た時の少女漫画よりも比較的新しめ(今でも通じる作画、といえばわかりやすいだろうか)の漫画が置いてある。ふと疑問に思ったが、そんなことより土着神様と開かずの間を探すのが先だ。しかし納屋を懐中電灯で照らしてみても、開かずの間なんてありはしない。ただの倉庫として使われてる古ぼけた納屋の壁があるだけだ。土着神様やら開かずの間やらなんておばあちゃんの嘘だと思い、納屋から出ようとしたら気がついた事があった。一見古ぼけた桐タンスだけど、地面を擦った痕跡がある。ゲームでよくありがちなタンスをどけたら隠し部屋が、というのを想像してタンスを擦った跡通りにどかしてみると、そこには小部屋があって、中央に井戸があった。「ゲームみたいですっげえ!」と僕は胸が躍った。さっそく井戸の中を照らしてみると、元来の井戸のように中は筒状になっているのではなく、地下へ繋がる階段を井戸で囲ったようなハリボテの井戸だった。ここまで来たら階段を下って土着神様を見てやろうと思い、階段を1段ずつ慎重に降りていった。地下に似つかわしくない座敷牢のような空間があり、その先にはぼんやりとした明かりが灯っていた。(こんなところにまで電気が通っているのか…)と思いながら懐中電灯を消して近づいてみると、何やら得体の知れない生き物の気配がした。ガサガサと何かが動いてる音が聞こえる、女の笑い声もする。

女の笑い声? なんで?

背筋がゾッとするのを感じた。動悸も激しくなる。なんでこんなところに女が?閉じ込められてる?いや、そもそもまずこの声の主は人間なのか…?

とにかく、ここに居たらヤバい。ヤバい。

本能が警笛を鳴らしていた。ぐるりと来た道を向き、早足で戻ろうとした時にテンパって、手に持っていた懐中電灯を落としてしまった。がちゃん、と座敷牢に懐中電灯を落とした音が響く。

 

今日は疲れたしここまでにしようかな…

小説?みたいなのを書いてみたいと思ったけど、ちょっと見返してみて稚拙な文章すぎるから続きは書くか微妙だな…

ちょくちょく手直しするかも。