こばなし。

あるところに、天才科学者が太陽の光を身体に浴びるだけで生きる分に必要な栄養素を体内に発生させることの出来る薬を発明した。その薬は世界に瞬く間に広まり、人類は薬を飲んで働く事を辞め、動く事も辞め、ずっと太陽の光だけを身体に浴び続けていた。そのうち人類は太陽の光を効率良く浴びる形状、光を浴びる際に最も良く光を吸収できる色に身体が変化していった。しかし、このまま動かなくては子孫を残せなくなる。人類は薬を飲んでいない生物に生殖器を刺激させて、その生物の身体に繁殖に必要な物質を着けられるように更に身体が変化していった。勿論その生物にもメリットがあるように、その生物が最も好まれる成分を生殖器周辺から分泌するようにもなった。

これが後の植物である。

 

あるところに、死ぬと死んだ直前の5秒前に戻って生き返る魔法を発明した悪の魔法使いが居た。当然殺しても死なないので、この悪の魔法使いを生け捕りにした王国の兵士たちは手を焼いていた。このまま牢屋の中で生かしておいて、老衰で死ぬ事になったらずっと檻の中で時間がループしてしまい、牢屋が一つ使えなくなってしまうと考えた学者が、国の中で一番高い崖の上から悪の魔法使いを突き落とす事にした。崖から地面に転落死するまで5秒以上かかり、何度も何度も悪の魔法使いは転落死を繰り返す事になる。しばらくして、悪の魔法使いが転落する地点に大きな水路を作った。魔法使いが転落すると、衝撃で水路の蓋が開く仕組みだ。悪の悪の魔法使いが720回転落すると水路の水が一杯になり、重みで耐えきれなくなった水車が1回転する。水車が1回転すると鐘が鳴る仕組みだ。12時を告げる鐘が今日も鳴る頃、落ち続ける悪の魔法使いは生き返る度に「こんなことで俺を殺せるわけがない」とタカをくくり、今日も笑いながら転落し続けている。

時計の中で、悪の魔法使いのような立場にいる歯車が今も時を刻んでいるのかもしれない。